ドッグファイトを簡易、直感的に把握するシミュレーションツール
本ブログ名は、「航空 機動/兵装」です。
フライトエンベロープ、飛行領域、維持旋回、上昇率では、「航空」(力学)を記しました。
今回は、「機動」の話です。
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飛行性能だけでドッグファイトの優位、その推移を考えるのは大変です。
同じ速度の2機が、片方が5G旋回、もう一方が4G旋回なら、5G旋回の方が、より有利にドッグファイトを進めることができます。
では、速度500ノットで5G旋回、300ノットで4G旋回をする2機は、どちらが、どの程度有利なのでしょうか?
今回は、速度、旋回、相対位置関係を再現可能な、ドッグファイトシートを紹介します。
ドッグファイトシートは、下図に示す六角形(ヘックス)を並べたシートを使用します。

図1.ドッグファイトシート(ヘックスシート)
このシートのヘックスの中央と中央を線で結び、飛行の経路とします。
「紙のシートに、鉛筆で線を描く」行為を想定しています。
これを読んで閉じないで下さい。
紙に線を描く、以下のルールが存在します。
ドッグファイトシート ルール(スケール)
・ヘックス間距離(ヘックス中央とヘックス中央との距離):250m
・1ターン(1アクションの区切りの時間):5秒
・速度ポイント:100ノット(100kt)単位
・旋回ポイント:G(重力加速度)単位
このルールによって、紙の上の線は、現実の世界と結び付きます。
具体的な線引き(もとい飛行)ルールは、
ドッグファイトシート ルール(水平飛行)
・航空機の速度ポイント(100kt単位)分、ヘックスを移動します。
・ターン中のヘックスの移動数と、速度ポイントは、常に一致します。
・ターン中の移動は、ターンの始点と終点を結ぶ直線で、
始点-終点間の直線距離(ヘックス数)が、速度ポイントと一致するなら、
どの方向でも構いません。
方向は、ヘックスの列方向(6方向)に限定しません。
・ターン開始時の、ターン終点位置は、前ターンの始点-終点と同じ位置関係
(前ターンと同一方向)になるヘックスです。
・旋回はターン終点を移動させ飛行経路を変更させるものであり、
旋回をしなければ、終点位置は変わりません。
・旋回は、右方向のどちらも自由です。
(機体の左右へのバンクは扱いません、旋回の中に含まれるとします。)
・旋回による終点移動は、ターン開始時の終点ヘックスを起点として、
終点を旋回のG値と同じヘックス数移動させます。
・旋回による終点移動は、始点ヘックスを中心とし、移動ポイントを半径とする円周上
(ヘックスシートでは六角形となるヘックス列上)になります。
・旋回による終点移動は、どの速度ポイントでも「旋回G値と同じヘックス移動」を適用します。
・旋回後の終点をターン終了時ヘックスとして決定します。
・始点ヘックスと終点ヘックスの中央を線で結び、本ターンの飛行経路とします。
以下からヘックスシートのpdfファイルをダウンロードできます。
ヘックスシートは、「Hex Creator」(https://apps.microsoft.com/detail/9nxh8lztbzmx?rtc=1&hl=ja-jp&gl=JP)で作成したものです。
これだけでは???なので、旋回例の図を示します。
旋回例の飛行は、400ktの直線飛行から左へ1G、2Gと旋回Gを増加させていきます。

図2.ドッグファイトシートによる旋回(等速水平旋回)の例
青線が、速度400ktの7ターン(35秒間)の飛行経路です。
黒矢印が、直進飛行の経路、矢頭のヘックスが未来位置ヘックスです。
緑矢印が、未来位置の旋回移動です。
1ターン目:図右下から、図の上方向へ400ktで直進/4ヘックス移動
2ターン目:左へ1G旋回/未来位置を左へ1ヘックス移動させ飛行進路を変更
3ターン目:左へ2G旋回
4ターン目:左へ3G旋回/始点ヘックスを中心とする半径4ヘックス列上を旋回移動
どうでしょうか? フライトシムの精密には、ほど遠いものですが、
ドッグファイトシートの目的、目標は、
・複数の航空機による航空戦(2vs2など)の再現
・ソロプレーでは対抗側も管理し、航空戦全体の視点で推移を把握できる
・機体性能の航空戦への影響
・複数機の編隊、相互支援戦術の有効性の実感
・簡易であるが、定量的な有意を持たせる
です。
本ブログのルールのみでは、等速水平飛行に限定されます。
上昇、降下ルール(3次元飛行)、加減速ルール(エネルギー機動)もあり、順を追って、紹介させていただきます。
※「ヘックス」「ターン」「速度ポイント」にピンと来た方、その通りです。特定ジャンルのボードゲームの末裔です。
「Hex Creator」様、末筆ながらご活躍をお祈り申し上げます。