フライトエンベロープ(F-15A)の精度-2

フライトエンベロープ 戦闘機/ジェット機

作成したフライトエンベロープの上昇率を実機資料と比較

前回「フライトエンベロープ(F-15A)の精度-1」は、フライトエンベロープと維持旋回性能の算定モデルと実機との比較を行いました。
今回は、上昇率の比較です。

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上昇率で作成エンベロープと実機資料を比較
計算モデルは、各高度、各速度※1での、エンジン推力、最大揚力、有害抗力および1G旋回
での誘導抗力※2の値が算定され、それを使い、各高度、各速度での上昇率[m/min]を求める
ことができます。

※1.本ブログの図は、高度を250m、速度をマッハ0.02で分割して計算しています。
   分割ステップは、任意に変更可能。

※2.nGの旋回を(nGの揚力を発生)した場合、誘導抗力はn乗で増えていきます。

下図が、F-15A計算モデルの上昇率[m/min]の分布です。左下の上昇率表から白~グレー、黒
の色の濃さで上昇率の値を示します。


最大上昇率の比較
作成エンベロープの最大上昇率は海面高度で16,940[m/min]=282.3[m/s]、
実機上昇率は、284.28[m/s](出典:wikipedia「F-15(戦闘機)」)です。

図1.F-15A算定モデルの上昇率[m/min]

H-M線図(Ps線図)との比較
F-15実機の上昇率のグラフは入手していませんが、一般的なジェット戦闘機(アフターバーナー付き)のH-M線図(Ps線図)は以下になります。

図2.一般的なジェット戦闘機のH-M線図(Ps線図)
出典:「エアワールド/実戦から学ぶ空中戦闘法⑥」(1998年6月号)

Ps(エネルギー比率)は、Ps=V(T-D)/W=速度(推力-抗力)/重量により求まり、これは上昇率になります。

最適機動領域の存在
Ps線図から、『第2の最適機動領域は超音速域にあることが判る。即ち、高度的には3,000~45,000フィートの帯域で、速度面では、1.4~1.8マッハの領域である。』(出典:前掲エアーワールド)
算定モデルの上昇率にも第2の最適機動領域が存在します。 

図3.作成エンベロープにおける最適機動領域の存在

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