対抗する2機のドッグファイトの計算-動画
ブログ「ドッグファイトの計算」では、シザーズ機動の計算結果を「画像」で示しました。
今回は、1対1の戦闘機動BFM (Basic Fighter Maneuvers)の計算結果を「動画」で紹介します。
投稿履歴、お問い合わせは、「航空 機動/兵装 サイトマップ」へ
戦闘空中機動の原則
対抗する2機がドッグファイト(模擬空戦)するよう、計算モデル中に「機動の原則」(戦術)を組み入れます。その原則は、「敵機に対して機首を向けよ!」※1

「敵機に対して機首を向けよ!」
※1.出典:エア・スペリオリティー「ブリーフィング・ブック」(GDW/ホビージャパン)
ドッグファイト計算モデルの概要
・A1機(青色)とB1機(赤色)の2機による基本戦闘機動/BFM (Basic Fighter Maneuvers)
・開始位置、開始速度と方向、最大旋回Gを設定する
・速度、最大旋回G(旋回Gの上限)は固定
・上昇、下降の高度変更は無い、水平飛行に限定
・旋回実施におけるバンク、ロールおよびヨー、迎角の扱いは無い
・旋回の左右方向は、「機動の原則」から対抗機が存在する側へ行う
・旋回のG値は、機首と対抗機への目視線との相対角を0にする値、
距離によっては旋回Gが最大旋回Gにならない場合もある
・自機に対して対抗機がいかなる方向、距離においても、対抗機の位置を認識できるとする
・速度と方向から時間ステップ内の移動量を算定し、位置を変更させ、
これを繰り返す
・速度と旋回Gから時間ステップ内の旋回角度を算定し、速度方向を変更させ、
これを繰り返す
・計算は、終了条件を満たすまで継続する
・終了条件は、
「対抗機をボアサイト(砲口、機首方向)±0.38度※2以内に収め、これを5秒間継続する」
※2.翼幅10mの距離750mの視野角
動画メニュー

互いに切り返しを続ける。2機の位置関係はどのように変わっていくのか?

奇襲は失敗した。機動性の優位は劣位からの状況をどのように覆すのか?

相手の尻尾を狙う円。Gの優位性は絶対的なアドバンテージとなるのか?

二つの円は再び邂逅する。その時、旋回性能の差はどのような状況をもたらすのか?

相手機は旋回性能、速度とも優位である。しかし、為すべき術はある。
ドッグファイト_01「シザーズ」
・初期配置:横並び距離1,000m、同方向で併進(互いに9時と3時に見る位置関係)
・速度:A1機400kt(ノット)、B1機400ktの同速
・最大旋回G:A1機5G、B1機4G
「A1機の旋回に1Gのアドバンテージを与える」
ブログ「ドッグファイトの計算」と同じ計算モデル、同計算結果の動画です。
同位(パリティ)の状態で開始し、1Gのアドバンテージによる「シザーズ」機動は62.5秒後に状況を終了させます。
ドッグファイト_02「機動性の優位」
・初期配置:B1機はA1機の後方7時、3,600m、B1機が優位なポジション
・速度:A1機400kt、B1機450kt、B1機が50kt優速
・最大旋回G:A1機5G、B1機4.5G、A1機が0.5G優位
チェッキングシックス! A1機はB1機が致命的な距離へ入る前に回避機動を開始、B1機の射撃を無効にした。
B1機のA1機への接近時の旋回は2G以下です。これは、計算モデルが常に最大Gで旋回を行うのではなく対抗機を正面に置き続ける旋回をするので、距離が遠い場合、旋回Gは小さくなります。
旋回Gの差は0.5Gですが、速度差50ktもあり、その機動性の優位からA1機は形勢を逆転。
B1機は奇襲に失敗した後、回避するA1機の旋回性能を見て(計算アルゴリズムの呪縛が無ければ)一撃離脱を選択すべきだったのか?
ドッグファイト_03「1サークル・ファイト」
・初期配置:距離2,000m、キャノピー・トゥー・キャノピー
・速度:A1機400kt、B1機400kt
・最大旋回G:B1機4G、A1機は6G、5G、4.5Gの3パターン
2Gの旋回性能差は大きく1旋回で後方につき、0.5Gの差でもループから抜け出さないと3旋回後にGUN射撃。
地球と火星の軌道の感じです。地球から火星探査機を打ち出すのに最適な最接近時のタイミング。
ドッグファイト_04「2サークル・ファイト」
・初期配置:距離0、会敵(マージ)
・速度:A1機400kt、B1機400kt
・最大旋回G:A1機6G、B1機3G
A1機は最大6Gで旋回しB1機を正面に収めると、1Gまで旋回を緩めます。
あたかも6G旋回で失われたエネルギーの回復に努めているようですが、計算モデルにエネルギーファクターは無く、純粋に幾何学(半径と円弧上の移動と中心の角速度)によるものです。
しかし、これは、維持旋回G以上の旋回でアドバンテージを取り、そのアドバンテージがエネルギーの回復も可能にする一連の流れの幾何学モデルとも言えます。
対抗機の側方から接近(うん、これはそれっぽい)、
再び最大旋回G(ピュアパシュートはアプローチ最終でGが増大、リードパシュートが好ましい)、
アスペクト0、アングルオフ0についた後は、最大旋回ではない3G旋回でGUN射撃
(これも半径と円弧上の移動と中心の角速度、「振り切れない」状況)。
ドッグファイト_05「毛玉」
「もしも交戦中すべての戦闘機の航跡を辿ると、それはまるで毛玉のようになる。」
「F-14トップガンデイズ」より
・初期配置:距離2,000m、キャノピー・トゥー・キャノピー
・速度:A1機500kt、B1機400kt
・最大旋回G:A1機6G、B1機3G
旋回戦からシザーズになり、シザーズから旋回戦に移るドッグファイトの軌跡は毛玉になります。
ただし、この流れとなるよう計算モデルに「仕掛け」を仕込んでいる訳ではありません。
旋回戦になるか、シザーズになるかの幾何学条件が存在し、それが切り替わると考えます。
単純な幾何学モデルの計算結果ですが、選択、実行をしています。
A1機とB1機は何をしているのか?
一見、双方は「OODA(ウーダ)ループ」を回しているように見えますが、そんなことはまったく無く、唯々ひたすら対抗機へ機首を向けているだけです。
ですが結果としてドッグファイトをしているように見える。
これは?
簡単なアルゴリズムと初期設定によって何かしら複雑な結果となる。これは「カオス」?
「敵機に対して機首を向けよ!」
戦闘空中機動の原則であり、この機動をすれば戦闘機動の範疇に入ります。
ただし、これは戦闘機動の初歩であり、リードもラグも使用する手練れにピュアパシュート一本で対抗すれば、翻弄されるだけです。
動画の作成
動画作成に使用したツールは、ExcelとPowerPointのMicrosoftOfficeコンビです。
ExcelとPowerPointで動画までたどり着くにはアーだ、コーだがありまして・・・
・VBAによるExcelグラフ表示リアルタイム更新
・Excelグラフ機能による字幕
・滑らかな動きになる計算ステップ時間、グラフ範囲の調整
・PowerPointの画面内録画
・PowerPointによるMP4保存
この中で、滑らかの動きになる~は、映像ソフトでコマ撮りにすればよいのですが、
計算モデルの初期値を変えて、即、その結果を見たいのでExcelリアルタイムグラフで押し通しました。
リアルタイムグラフでうねうねとした動きを見ると、冥王星会戦でミサイル艦17号が撃ったミサイルと回避する突撃艦を思い出します。
元々これは・・・
この動画はYouTubeにアップしたのですが、ビュー数は散々でした。
やはり、BGMもなく、ゆっくりも、ずんだもない「沈黙の動画」は沈黙されるのか?
それとも対象アイテムがマイナー過ぎる?
このブログを見に来ていただいた皆さん、どうでしょうか?
ブログ作者近況
12月1日より、生活環境が大きく変わりました。
目の前に見えていた崖が大きく引いたので良い方向の変化です。
この変化をブログ投稿の駆動にしていきたいです。
